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殴り応えのある金玉さんから頂きました

2019年4月10日
藤宮もとのという男がいる。 今年31歳となり、夢を追ってやりたい仕事の経験を積む為に、未経験であるその仕事の手伝いというアルバイトをしている。どういう仕事なのか僕には皆目見当もつかないが、夢を追って頑張るという姿は、全てを諦めババアの肉便器として生きている僕にはとても眩しく映る。しかし、その手伝いの仕事はどうやらめっちゃ暇らしく、あまりにも暇をもてあますので週に3回コンビニでバイトをしているらしい。やりたい仕事がめっちゃ暇ってことは、その仕事はニートなのだろうか。プロのニートなのだろうか。僕もニートになりたい。どういう仕事なのかはわからないが、たとえそれがニートだとしても夢を追う姿は眩しい。 他には遊戯王というカードゲームが大好きで、週に1回は仲間とデュエルしているらしい。 そして部屋の窓際にはエロ本タワーを建築するほどのエロ本狂。エロ本タワーがあるから窓にカーテンが付けられないとかサイコパスみたいなことを平然と言ってのけるナイスガイだ。先日などその窓際が雨漏りしたと怒り狂っていた。それはそうだ。わが子のように愛したエロ本タワーが、本にとって致命的とも言える水によって侵食されたのだ。草むらに捨ててあるエロ本は濡れていると興奮度が3割り増しになるというエロ本ハンターの間では通説となっている謎の法則があるが、それは捨ててあるから興奮するのであって、自宅で大切にしているエロ本が濡れるのはそれは違う。それで興奮するのマジモンのキチガイだけだ。自宅のエロ本が濡れたらそれは怒り狂う。藤宮ほどのキチガイでもそれは怒り狂う。その怒りはイカヅチとなってあたりを焦土と化してもおかしくはない。エロ本タワーを残してあたりはあらゆる生き物を寄せ付けない死の大地と化し、エロ本タワーは神々への反逆を示すバベルの塔となってもおかしくはない。バベルの塔の天辺で神とデュエルしていてもおかしくはない。 また、彼は童貞である。 世の中には真の童貞と童貞を売り物にしてメシを喰うビジネス童貞が存在する。彼も童貞を売りにしてアクセス数を稼ぎ、世の童貞や非モテをせせら笑うビジネス童貞かもしれない。マイクロビキニを纏った美女3人(1人は藤宮が癒しを求めた温泉への道すがらの新幹線でたまたま相席になり、色々と話をして「ああ、こんな美女と出会えるなんて……癒される」とか思いつつ温泉宿についたら露天風呂の混浴で、そこに入ったら相席になった美女がいて一緒に風呂に入ってたらチンコをガン見されたからガチガチに勃起したチンコを握らしたら嫌がるどころか興味あり気に手を離さなかったから「…俺もォっ、止められないんです……っ」「あう…あく…っ。私…も」「んおおほぉ」とか言いながらセックスしちゃって、風呂を出た後に「もうあんな理性飛んだ事は控えないと……」とか思ってたらその美女がむしろ自分の部屋に来て「も…バレちゃ、声でちゃうぅ!」「もっと大声で喘いじゃえよ」「だめへぇ!」みたいなこと言いながらまためちゃくちゃセックスした女。1人は他の男に寝取られ、乳頭にピアス、下腹部になんか野草が芽吹くみたいな文様の中心にハートがあしらわれたタトゥーを施され、ゴリゴリにその男のちんぽ狂いにさせられアへ顔ダブルピースで「もとのしゃんごめんなしゃいぃ! わたしこの人のおちんぽ様と結婚しましたっ! おおっ! もとのしゃんとはもう別れましゅうぅんっ!」とか言いながらセックスしてるDVDが送られてきて、それを見ていたら呼び鈴が鳴り、出てみたら黄色いサングラスと銀のシルクハットを被って舌を出しながら胸の前に手を差し出して左右に揺らして完全にヤク漬けにされた状態の女がいたので泣きながら「おかえり」と力いっぱい抱きしめた女。1人は8歳)をはべらせながら真っ赤なソファーに座りシャム猫をひざに乗せてブランデーをくゆらせてながら「俺が本当に童貞かだって? ハン、生まれて秒で母親を犯してやったよ。けけっ」とか言ってるかもしれない。 ブログ名だって「クラリセージ」なんていうクソシャレオツなハーブの名前だし。昔は「ごった煮サイエンス」なんていう垢抜けない、進研ゼミの教材みたいな名前だったのに。こんなメスの匂いしかしないブログ名、童貞が思いつくだろうか。アクセスする度に「ズプズプ」「ズパンズパン!」みたいな音しかしないような名前、童貞に考え付くものなのだろうか。 だが本当に彼は非童貞なのだろうか。 少しクラリセージについて調べてみよう。

クラリセージ(英:clary sage, 学名:Salvia sclarea)はシソ科アキギリ属の一種で2年草のハーブ。別名オニサルビア。民間療法として種子がよく目の疾患に用いられてきたため、「奇麗な目」として知られてきた。鋸歯のある葉は観賞用にもなる。 セージ(ヤクヨウサルビア)とは同属別種。ヨーロッパから中央アジアにかけての地域が原産地。

また、効能として

アロマテラピーで香りを吸入することで気分を穏やかにし、幸福感を起こさせるといわれる。 抗痙攣性があり、消化器疾患、たとえば腸内ガスと消化不良などに用いられる。強壮作用と鎮静作用も認められ、神経疲労、月経痛と月経前の障害を軽減する。また、エストロゲン刺激作用があり、無月経、月経不順、更年期障害のほてりにも有効。痔にも効果があるという。

Wikipedia「クラリセージ」
以上がクラリセージについての引用である。 この幸福感を起こさせるところからか、催眠作用があるほか、古来から媚薬としても用いられてきたという話もある。 「催眠」「媚薬」この2つのフレーズのなんと童貞臭のすることか。 童貞は都合の良い展開が大好きだ。 「最終兵器彼女」の作者高橋しんは、ヒロインであるちせに「シュウちゃんのこっこが欲しいよお……」という台詞を言わせたことから「こっことか言う女いねえよ」「作者は間違いなく童貞」という称号を欲しいままにしていた。 そして藤宮は「催眠」「媚薬」が大好きだ。「催眠」かけて「媚薬」盛って「あへえぇぇ……」という展開が大好きだ。DLSite.comに足繁く通い、催眠音声をダウンロードしているという事実がそれを物語っている。どうせスマホアプリを見せるだけで相手を意のままに操れるアプリを手に入れてそれを使って妹とめちゃくちゃにセックスする話とかも大好きだ。都合よく、しかも自分にリスクがなく、相手を屈服させるということに目がないのだ。しかも上記の催眠音声とは、女性が視聴者に催眠をかけるというモノで、「大きく息を吸って……息を全部吐ききって……」「私の声を聞くのは気持ちいい、そうでしょ? だから私の言うことを聞くのは気持ちいいことなのよ」からの「この豚ァ! 自分で乳首弄りながらチンコしごくのを私に見られて気持ち良いのッ!? ほらっ、見ててあげるから情けなく射精しなさい! 出すときには私は豚ですって叫びながら出すのよっ! あはははははは!」とか罵られるのだ。こんなものをホクホク顔で購入する人間。これは間違いなく童貞と言える。童貞をこじらせていると言える。 また、「寝取られ」というジャンルにも彼は異常な執着を見せている。先日などTwitter上で「寝取られモノのエロ音声が欲しいお年頃になりつつある」などと呟いていた。 「寝取られ」とは主人公視点で大好きな彼女やパートナーを他の男にチンコで無理やりに屈服させられ、挙句その男のチンコがないと生きていけない! とまで思わされ、女性が主人公から離れていってしまうという事象だ。なんならその屈服させられている様子を撮影され、その動画を送りつけられた主人公が号泣しながら「何で俺はこんな動画で興奮してるんだ……っ!」とか言いながらオナニーするまでが一連の流れになる。 まともな人ならば大好きな人が盗られていく様に興奮などできようはずがないのだが、藤宮は違う。童貞だからだ。寝取られモノの音声などというものはどうせ「ねえ、キミのことが大好きだよ。一緒にいられて幸せ」「一緒にお布団に入ってゆっくり休もうね」からの「あっあっ! ダメっ! キミのチンコよりこの人のチンコの方がおっきくてっ、すごくてっ、全然違うっ! おおっ! お腹ぐちゃぐちゃにされりゅうぅう! イグッ! キミより全然逞しいオチンコでイグうぅ! もうキミなんていらないっ! シュウちゃんのこっこが欲しいよぉっ!」とかいうものに違いない。なんなら「あ、キミは催眠術でベッドから身動きが取れないからね」とかいってるに違いない。こんなものをニッコニコで購入する人間。これは間違いなく童貞と言える。童貞をこじらせていると言える。しかも童貞であるということはパートナーを持った経験がないと言える。ということは全てが想像上でのことなのだ。非童貞は自身の経験を照らし合わせ、寝取られるという事柄がどれだけ辛く悲しいことか、それを主人公に重ねて感情移入をするのだが、藤宮は童貞なのだ。寝取られる前段階すらも経験していない。その状態で「寝取られた」という事象に感情移入するのだ。これはこじらせているどころではなく、もはや神の領域にすら足を踏み入れた童貞なのだ。 そう、クラリセージとは決してシャレオツな名前などではない。 藤宮という神が「催眠」「媚薬」を糧に生きていて、また痔にも効能があると言われていることから、これからアナルの開拓も視野にいれている。そういった決意表明とも言えるブログタイトルなのだ。クラリセージってアロマテラピーで吸入するとイイよね! などとクソふざけたことをのたまっていると、藤宮神によって性転換させられたあげくにスマホアプリで催眠状態に落ちいれられ、舌に媚薬を注射されて「おっ」とか「ほっ」しか言えない状態にされてアナルに紫色の30cmくらいあるバイブをつっこまれた挙句に性転換する前に付き合ってた彼女を1日30回くらい射精できるマジカルちんぽを持った絶倫のハゲたおっさんに種付けプレスされて寝取られるという話でオナニーのネタにされるのだ。神はTSも好物なのだ。 さて、ここまで藤宮もとのという男について、いや、藤宮神について書き連ねてきたが、神について忘れてはならない事柄が1つある。年に1度、神が世界に裁きのイカヅチを落とす日があるのだ。 それは12月24日。 神が誕生したとされる12月23日深夜から12月24日深夜にかけて、神ブログ「 クラリセージ」内にて「クリスマス特別更新」と銘打って世の非童貞やイケメン、リア充、モテ男、パリピ大学生、浮かれたインスタグラマー達に夜通し呪詛を吐くという天界の宴が開催されるのだ。 この宴は神が24時間ぶっ続けで神ブログ「クラリセージ」を更新するというもので、まさにこの世を焦土と化すような地獄絵図の様相を呈する。神が30分に1度ブログ記事を更新するたび、モテ男や浮かれたカップルが消滅しているという。まさに神の怒りのイカヅチなのだ。 僕はこの天界の宴に、世の中の浮かれた人間たちにイカヅチを落とすだけでなく「昔はもっとブログ仲間もいっぱいいて、24時間更新とか24時間ラジオとか、お前らそいういうバカをやってたんちゃうんか……。なにゆーちゅーばー? ばーちゃるゆー……なんとか? そんなもんになにカマされとんねん。ワシらの生きてきたネットは、もっと殺伐としてたんちゃうんか。いかに文章でカマすか、そういうことを掲げてワシらは切磋琢磨してたんちゃうんか……。もうこんな廃墟のようなブログ界隈で、こんな手垢のついた24時間更新企画しても何にもならんかもしれん。ゆー……? なんとかに、確かにワシら追いやられているかもしれん。けどや! やることに意義があるんや。もう消えかかってる火かもしれんけど、ワシはこの火を絶やさんのや! ワシがやらな、他に誰がやるねん! ワシがこうやって毎年勝負をする、それこそがワイの生きた証や! 誕生の証なんや!」という神の想いが込められているとしか思えない。じゃなかったらただの変態だもん。 僕は全くリア充でもなんでもなく、日々自宅で酒を飲み、ちょっとおいしく出来たおつまみなんかを写真に撮ったりはしてみるけど見せる相手もなく、寂しさのあまりトチ狂ってちろっとTwitterなんかに上げてみてもあたりまえに道端の石ころよりも人の目に留まらず、ウサギなら200回くらい死んでるんじゃねえかってくらい寂しい生活をしているが、もはや神からみたら堕天したルシフェルだろう。もはや神の裁きの対象だろう。 しかし、今回この記事を書くなかで、藤宮神のことを改めて理解できた。そして改めて、堕天したとはいえ、翼がなくなったとはいえ、僕にも神の為に何かをさせて欲しい。その想いが強くなった。 幸いこの神の誕生の宴では、誰かが寄稿するという形で疲れきった神にしばしの休息をとっていただくというシステムがあるらしい。昨年の更新を拝見したところ、僕と同じように堕天した者も寄稿していたので、神の包容力はそのような些末なことでは変わらず寄稿を受け入れていただけるようだ。 それならば、だ。 僕も寄稿をしよう。 まだ4月であり、神の宴は8ヶ月以上先ではあるが、神に献上する品として準備期間は長すぎるということはない。神に少しでも休息の時間をとって頂くため、また、少しでも神の力となり浮かれたインスタグラマーを消滅させるため、今から呪いをかけよう。僕だって非リア充だ。誰からも省みられることのないようなクソ人間だ。そうだ。とびっきりの呪詛をしたためよう。そして久しぶりにこの言葉を使おう。 リア充は、しね。
2019年4月3日
 協調性は大切だと思うんです。お互いがお互いを助けたり、助けてもらったり。そうすることで生きる希望が沸いてくる。明日も生きていこうと思える。  例えば電車でもそう。降車する人が先じゃないですか。降りる人を降ろしきらない内にズブズブに乗車していくと出入り口付近で滞留ができて、やがてそれは鳴門の渦潮のように暴れまわるじゃないですか。一触即発になるじゃないですか。乗車するために並んでいて、やっと電車が来てさあ乗ろうって時に老人が2013年ダービーのキズナのように外から鋭く差し込んでくるとかないじゃないですか。お前そんなあわてて乗り込んだところで座席なんて埋まってるんだからいいから並べって話じゃないですか。  この間も職場で、ていうかまあこの職場もたいがいで、職員の数が絶望的に足りないんですよ。本来6人でやることを3人でやらされたりしてるわけなんですよ。半分ですよ半分。1/2ですよ。川本真琴も「そう飛べそうじゃん!」って言うしかない。ピエール瀧みたいに踊りながら言うしかない。そんな絶望的な職場環境なもんですからね、それはもうブリブリ動かないと終わらないわけ。移動式ウォシュレットと化して、肉便器と化して仕事をしないと終わらないんですよ。「私はお便器でしゅうっ! おおっ!」とか言ってる場合じゃないわけ。なんだけど、まあ僕だけどれだけ頑張ったところでなかなか終わらないわけですよ。うち太ももに正の字を5個くらい書かれるくらい肉便器として頑張ってもまあなかなか終わらないわけ。そんなときに頼りになるのはやっぱり同じ職場で働く仲間たち。これ。同僚と僕でですね、グイグイ仕事を終わらせていったわけですよ。皆で頑張ってひとつのことを成し遂げていくっていうのは最高ですよね。もうこいつらと写真撮って「#アモーレ」「#Best Friend Forever」とかタグつけてインスタ投稿したい。「#辛い事はあるけれどお前らと一緒にいれてマジ幸せ」とか「#yolo」とか意味のわからないタグつけたい。まあ皆肉便器なんですけど。そんな感じで皆で一体となりながら、やっぱ協調性とかチームワークって大事だよなーとか考えながら頑張っていたんです。  そんでまあ肉体労働なもんでね、やっぱり暑くなってくるわけですよ。汗とかダラダラ出ちゃうわけですよ。めっちゃ冷房入れたくなるんですよ。客であるババア共っていうのは気温の変動にめっぽう弱い、熱帯魚にも劣るような脆弱な生き物なんでなかなかこちらの快適温度と相容れないんですけど、職場の空調設備って割と細かく分かれててワンフロアで6ヶ所くらい個別設定できるんです。これならまあ僕らだけがいる詰め所的なところだったら冷房とかいれちゃっても大丈夫だろうとそこの空調だけ冷房にしたんですよ。そんでまたしばらく仕事して、そろそろ冷房効いてる頃だろと思って帰ってきてもなんか、ムアッとしてるんです。アチャーちょっと僕も弱気になってたかなと。無駄に気を利かして23度とかの生ぬるい設定にしちゃってたのが良くなかったのかなと。よかろうならばこちらも考えがあると設定温度を爆下げ、禁断の最低温度19度設定にしたんです。しかも風量も「微・弱・中・強」の「強」よりも更に上、「急」にしてやったんです。もうこっちも急いでるからね。急いで下げてもらいたいからね。そんでまたしばらくして戻ってみたら「ムアッ」ですよ。こっちは「は?」ですよ。「#アモーレ」くらい「は?」ですよ。何なんだろうと画面表示をよくよく見たらですね、「他の空調が暖房設定しています」とか書いてあるの。いやいや、意味がわからない。そんなことのたまいながらムアッとした不快な空気を吐き出してるの。ほんと意味がわからない。暖房設定だから何なんだよって話ですよ。お前の信念を貫けよと。そんなところで協調性いらねーよと。ほんと意味がわからない。暑い。しかもこいつってば頑なで、どこをどう弄っても「他の空調が暖房設定しています」しか言わないの。もうどうしようもないからこっちも、ああ、君の信念はそこにあるんだねって言うしかない。頑なに他の空調に協調することが君の信念なんだねって言うしかない。確かにね、協調性は大切ですよ。でもその本質は助け合いじゃないのかと。お前が暖房に固執することで誰かを助けてるのかと。幸せにしてるのかと。ほんと協調性があるのに不快な空気をかもし出してるやつなんて初めてみたわ。腐敗した政治みたいなやつだわ。
2019年3月24日
 電車に乗っていたんです、電車。これが草津の温泉地に向かう電車だったら、僕もワクワク気分でスーパードライ500ml缶をブシュッとやってゴキゲンってなもんですけど、悲しいことに通勤電車。悲しいまでに通勤電車。何もゴキゲンじゃない。見慣れすぎてて何もワクワクしない。しかも世間様は休みの日の出勤なもんで、周りには浮かれたカップルだの何だのばかり。これが平日だったらまだリーマンなんかが一緒に乗っていて、殺伐とした空気に僕も仕事への気合が入るってなもんなんですけど、全然殺伐としてない。殺気を放っているのは僕だけで、周りはアッパッパーな顔してるやつらばっかりですよ。気が抜けたキリンレモンみたいな顔してる奴らしかいないんですよ。アホみたいな顔してデカイリュックにチタンで作りましたみたいなピンクの杖にバードウォッチング協会会長みたいな帽子かぶりやがって何だ、これからお友達と登山かババア。山に登るってのに電車では座るんか。マイナスイオンが出てるところ以外では座っていたいってか。おめでてーな。そんな風に頭の中で呪詛を吐きながら電車に乗っていたんです。唯一の救いは座席に座れたってことだけ。座席は埋まっててチラホラ立っている乗客もいるなか、まあせめて座れて良かったなとか思ってたんです。こっちはお友達と登山しに行くわけじゃねーからな。僕がこれから行くところはマイナスイオンどころかマイナスの瘴気で埋め尽くされた魔の建築物だからな。負の気しか感じないパワースポットに赴くわけだからな。  そしたらちょっと大き目の駅についてですね、モサモサッと更に浮かれた奴らが乗ってきて、もう車内がフィーバーなんですよ。乗車率100%みたいになってきて、なんか軽く河川敷のBBQ会場みたいな様相を呈してきてるんです。もうほんと鬱陶しい。こうなってくると配慮してくれないかな。なんかこう、遊ぶやつ専用の車両とか作ってくれないかな。僕のような休みの日にも出勤している戦士たちには専用の車両を用意してくれる配慮とかしてくれないかなと思っちゃう。遊ぶやつらはもう車両の中でパーティーとかしてていいから。街コンみたいなことしてBBQしたり酒飲んでていいから。そんで良い感じになった女の子とセックスとかしてていいから。 「もー康夫がたくさん飲ませるから酔っちゃったぞぅ」 「しょうがないなー加奈子は。そうだ、この車両休憩所があるからそこでちょっと休んでいこう」 「またそうやっていやらしいことする気なんだ」 「加奈子だって嫌じゃないだろ?」 「そんなんじゃないもん!」 「ジュパジュパ! ジュゾッチュルルルン!」 「おおふああああおおおおっっ!」 「おおッイグッ! イグイグッ!」 みたいなバカみたいな車両作っていいから。そんなの出来たら僕も仕事とかどうでも良いからその車両行くから。イグイグッ! とか言うから。そんな最終痴漢電車みたいな車両作ってくれたら週9で行くから。  そんなバカみたいなこと考えてたらですね、ふと気づいたら座っている僕の目の前にすごい絶妙な感じの老人が立ってるんですよ。わかります? こう、ダークカラー系のブラウンみたいな上着を着てて、老人というのはまあ言い過ぎだけど、マダムではないっすよねみたいな。電車の中で立っていることはできるだろうけどまあ座ったほうがアンパイなんだろうなって感じの絶妙な感じの老人。  これね、席を譲った方が良いんだろうなとは思ったんですよ。わかります。譲れよと。お前はおっさんでもまだ若いだろがいと。通勤電車で立ってるくらいの体力はあるだろうがいと。でもね、これからこっちは出勤なわけで、ぶっちゃけ座っていたいの。ていうかもうこのブラウンが乗車してきて3駅くらい過ぎてるわけ。乗ってきてすぐ譲るんならなんかパッとやれるんだけど、乗ってきてからしばらくしてから譲るのって勇気いるくない? わかるよ。君の言いたいことはわかる。譲れよと。遅かろうが早かろうが気づいた時点で譲れよと。それが優しさやろがい。それが配慮やろがいと。うんうん、言ってることは痛いほどわかる。でもね、ていうかね、僕が座っているのって車両の真ん中あたりの席なんですよ。このブラウンも老人なら、座りたいなら優先席の方へ行けよって話なんですよ。僕が優先席に座ってたら、ていうか優先席には座らないですけど、もし僕が優先席にいたらそらもうどうぞどうぞですよ。あなたの為の席ですからってなるんですよ。でもここ車両ど真ん中ですよと。そっちもそっちで配慮してくれって話なんですよ。ていうかあれですよね、電車に乗るのに並んでるのに、電車が来て乗車口が開いた瞬間すげー脇から進入してくる老人いるじゃない? ドアが開いた瞬間ディープインパクトばりに大外から差してくるやつ。配慮もへってくれもないやつ。そういうやつには断固として席を譲りたくないじゃない。人としてどうなの? 馬鹿なの? 馬なのっていう話ですよ。  そんなこと考えてたら更にですね、なんていうか、ちょっと知的障害のあるっぽい子が乗車してきたみたいで、更に車両がカオスですよ。その子はなんか電車がめっちゃ好きみたいで、駅員の真似みたいなことをしながら「次はー中央林間ー」みたいなアナウンスをしてるんです。停車、発車の時には「ダァー、シャリアス(ドア、閉まります)」みたいなことも言ってる。まあちょっとおかしな子ではあるけど、僕らに害はないかなみたいな感じなんです。というかむしろ好感触。「オキィツゥクァーサイ(お気をつけください)」みたいなことも言ってる。めっちゃいい奴なんです。そんで僕の降車駅について、その子も下車したんですけど、降りるときにも「シィィツレィシアス(失礼します)」とか言ってた。めっちゃいい奴。めっちゃ配慮してる。ちなみにブラウンは僕が座ってた席にズルッと座ってた。ああ、座りたかったっすよね。  やっぱり配慮って大事。
2019年3月23日
 僕たちはどう生きるかという自由を持っている。  我々が住まうこの日本国では、人間であるというだけで享有する普遍的な権利、基本的人権によって僕たちの自由は守られている。それは全ての人間が持つ自由という権利だ。私生活、財産権の保護や教育の権利や労働の権利、思想、信仰、言論等の自由、それらは全て僕たちの権利であり、自由なんだ。  最近はLGBTがメディアで取り沙汰されている。レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字をとったもので、LGBT総研の調査によると全国20~59歳の個人10万人のうち、約8%がセクシャルマイノリティであると回答があったらしい。こういった人たちの生き方だって自由なんだ。  実は僕はゲイ・ポルノがひどく好物だ。友達に殴り応えのある金玉という狂気としか思えないハンドルネームのブロガーがいるのだが、何かにつけてはヤマジュン作品におけるチンコが屹立した際に発せられる「クンッ」という謎の効果音や、その屹立したチンコがゲイ・ヴァギナに挿入された際に発せられる「うおおおぁあああっ!」とかいう男たちの野太い嬌声を無料チャットアプリで送りつけてくる。それがもう面白くて面白くて、もう僕たちの会話はほとんど 「飲みに行きましょう」 「クンッ」 「あああおおおおっ!」 「ズニュル」 みたいなやりとりばかりになっている。結局行くのか行かないのかどっちなんだよ。  だけど、これだって自由だ。表現の自由なんだ。好きなものに対する愛情表現なんだ。そして、みんなそれぞれ違う人間で、違う個性を持っている。少し自分と違うからって、差別したりして良いはずがないんだ。お互いがお互いと違うんだから、そこには優しさと寛容が必要だと思う。  僕がよく行く繁華街には、頭が完全に野武士みたいにハゲててガッツリすね毛を生やしたまま女子高生の制服を着てるおっさんがたまに出没するんだけど、それだって良いと思う。彼は彼の好きなファッションをしているだけ。せめて毛を剃れよ、いや、上じゃなくてすね毛の方だよ、上はむしろヅラが必要だよ、なんて思うんじゃなくて、そうか、彼は関が原の戦に破れた西軍の落ち武者が現代にタイムスリップしてしまったんだけど、ターミネーター張りに素っ裸で現代にデデンデンデデンしてしまってどうしたものかと思案していたら、たまたま現れた場所がコスプレショップだったもんで目に付いたイカした黒のハイソックスとかわいらしいブレザーと限界ギリギリのミニスカートをかっぱらい、何事かと騒いでしまったコスプレショップの店員を辻斬りして逃げてきたというファッションが好きなんだなと理解する寛容さが必要なんだ。  そう、昨日の東京は最高気温21℃とかいう桜も花を開かざるを得ない、森山直太郎も歌わざるを得ない気温。そんな春もたけなわみたいな気温の中、トレーナーにブルゾンを着込んだおっさんがいたとしても、おかしな目でみてはいけないんだ。だって彼は仕事で夜勤入りかもしれない。次の日は最高気温9℃なんていわれたもんだから、21℃と9℃どっちに合わせて服を着たら良いのか悩みに悩んだ末にどうせ変な目で見られるなら寒くて震えて帰るよりは9℃に合わせた方がマシだと思ったのかもしれない。「え、何あの人、こんなに暖かいのになんでブルゾンなんて着てるの? 風邪なの?」なんて思われようが、夜勤明けで体力が消耗した次の日にTシャツで9℃の気温にぶちあたってほんとに風邪をひくくらいなら9℃に合わせようと思ったのかもしれない。だって風邪ひいたって熱が37.5℃以上でないことには会社も休ましてくれないんだもん。そういうギリギリのショート寸前の思考回路でなんとか生み出したコーディネートだったのかもしれない。そう、例えおかしな格好をしたおっさんがいたとしても、寛容さが必要なんだ。優しさと寛容さが。
2019年3月20日
 胸が重たい。鉛のように胸が重たい。自然と体が前傾して喉が詰まるようだ。息がし辛い。苦しい。 雲ひとつない晴天の昼下がり、僕は暗い顔で歩いていた。  17時間の夜勤を終えると大体昼前くらいに帰路に着くことになるんですけど、いつも気分が重たいんです。 もうね、ベッド下に敷かれた踏み込むとナースコールが鳴る仕組みの悪魔のアイテムでもって狂ったババアにそいつの部屋まで10分おきに50mほど歩かされたりするんですけど、ババアに要求を聞くと常に「トイレに行きたい」としか言わないんです。10分前にも行ってるのに。その10分後にも起きだしてきて「トイレに行きたい」。なんなの、筋トレなの? って話ですよ。そのババアと同じような行動をする狂気の仲間が5人くらいいまして、そいつらが結託して何分かおきの波状攻撃を10時間くらいしかけてくるんですよね。トイレに何があるんだババア。中にはトイレとも言わないやつとかいるからね。寝ている状態で人差し指を顔の前からすっと足元のほうへ指して「戻りたい」とかいうやつとかいるからね。意味がわからない。僕だって戻れるもんなら戻りたいわそんなもん。  毎夜毎夜こうですから、こんなもん合法的に人間を壊す方法を実験しているとしか思えない。どれだけの負荷を与えたら人間が壊れるのか、学園モノのエロゲーで学園長が上物の女学生を調教をして裏社会で売り飛ばすという闇のビジネスをやっていて、そこに表の顔は教師だけど実は闇の調教師で学園長の依頼を受けて女学生を調教するためにやってきた主人公みたいな顔したやつが実験しているとしか思えない。 「ほらほら委員長! しっかり腕立てをしないと顔の前のうんこどんぶりに頭を突っ込んじゃいますよ!」 「ううっ……もうだめっ! もう腕立てできないっ!」 「あははははっ! あれだけ強がっておいて情けないなあ委員長は!」 「ううっ! く、くさいっ!」 みたいな狂気の調教をしている主人公みたいな顔したやつが裏で糸を引いているとしか思えない。  そんな17時間の狂ったカーニバルから開放されるわけですから、もっと晴れ晴れとした、解き放たれた心持になっていても良さそうなもんなんですけど、どうにもこうにも心が晴れない。さわやかな気分になれない。  そんな折に会社で健康診断がありまして、こんな狂った実験室のような会社でも健康診断はあるわけでして、事前の問診表のチェックシートを記入していたんですよ。まあこんなチェックシートなんて心底どうでも良いような質問ばかりでして、「既往はあるか」「飲酒は1日何合か」「タバコは1日何本吸うのか」「人と比べて歩く速さはどうか」とか、もう心からどうでもいい。別に君も興味ないでしょ? 放っておいてくれよと言いたくなる。それが健康診断なんだよって話ですけど。そんなインドにおける卵の平均価格よりもどうでもいいチェックシートを記入していってたんですけど、「症状」みたいな欄の中に「イライラする・不安である・気持ちが重たい」ていう項目があったんです。これはもうそうじゃないですか。そうとしか言えないじゃないですか。まあ正直こんないい歳したオッサンが「イライラして不安なんでしゅうぅん」とかほざくのもかなりキツイものがあるんですけど、ビシッとチェックを入れてですね、健康診断に臨んだわけですよ。体重身長測定やら地獄の血液検査やらを終えてですね、ていうかすごい疑問なんですけど、看護師ってなんであんなに採血するのもされるのも好きなんすかね。僕は自分の血液がシリンジに吸い込まれていくのを見てると血液と一緒に意識まで、魂まで持ってかれる感じで気を失うんですけど、あいつらすげーガン見するじゃないですか。そこまで見なくても良さそうなもんなのになんなんだろ。技術評価みたいなのしてるんですかね。武士の立会いみたいなもんなんですかね。すげー脱線しましたけどまあ色々終えまして、ドクターの問診となったわけですよ。まあこんな健康診断の問診なんて、会社側も医者側もやりましたって事実が必要なだけであって、四万十川の清流のようにサラッと流されて終わりなんですよね。この担当の医者も、医者というよりはさながら工場のライン工のように手早く心音肺音なんかを聞いて問診表眺めて「んーこのイライラするなんてのは皆書いてるからねえ。何か趣味でもして気を紛らわしてください。じゃ、おつかれっした」ですからね。ていうか僕常々思うんですけど、「皆がんばってるから」「皆辛いんだから」とか 「皆そうだから」なんてのは何の言い訳にも励ましにも釈明にもなってないと思うんですよ。 「いやーもうほんと風邪で辛くて休ませてください」 「うん、みんな風邪で辛いからがんばろ」 「イライラして不安があって辛いんです。リストカットとかしちゃって。練炭と荒縄も買っちゃった」 「うん、みんなカットしてるし買ってるからがんばろ」 「ぴぎぃっ! イキしゅぎてバカになっちゃう! もうイかせないでくだしゃいぃっ! おおおおおっ!!」 「うん、みんなイッてるからがんばろ」 意味がわからないじゃないですか。みんながそうだからって自分の辛さが軽減するわけじゃないじゃないですか。みんなイッてるからがんばろなんて、この後調教に成功した主人公が女学生をはべらせるシーンしか想像できないじゃないですか。まあそんなことをこんなライン工の流しドクターに言った所でどうしようもないんで、「ありっしたー」とか言って出てきましたけど。  ただまあこの医者の言ってることも正直理解できて、自分の部屋を掃除とかしている時はわりかし楽なんですよね。無心になれるというか。特に玄関の掃き掃除なんて最高。チリまで残さず掃きまくっていると何も考えなくて済むんですよ。ただ夜勤明けに自分がチリみたいな感じになってるときに掃除をするっていうのも辛いものがある。じゃあほかに趣味は何かなんて考えてみても特になにもなくて、やっぱりもう酒を飲むくらいしかないんですよね。赤霧島とかをズルッと飲むしかない。でも最近独りで酒を飲んでいてもやっぱり気分が晴れなかったりするんですよ。酔ってくるにつれて誰かと話をしたい。誰かと繋がりたいという気持ちがでてくる。しかし僕はそもそも友達なんてかなり少ない上に、マトモな人間なら勤労に勤しんでいる真昼間から飲んでるわけで、話相手なんていやしない。寂しい、飲む、さらに寂しいという完全に負の連鎖、間違いなく良くない酒の飲み方をしてるわけです。もう寝るしかない。  そんなときにふとスカイプの掲示板を使えば友達ができる! みたいな記事を発見してですね、まあその記事では普通に友達申請とかしてもほぼシカトされるか辛らつに扱われるみたいなことが書いてあったんですけど、スカイプならインストールしてあるし、シカトは辛いけどまあ罵倒されても暇がつぶせるならいいかと思ってブリッとその掲示板とやらを覗きにいってみたわけですよ。  そしたらまあなんかすごい魑魅魍魎の巣窟みたいになってまして「鬱病です! イチャイチャしたい!」とか「イケメンボイスで添い寝して!」とか「脳イキ!」とかもうわけのわからないワードが踊り狂ってるんです。脳イキとか普通に出てくる意味がわからない。まあこの文章もイキしゅぎてバカになっちゃう! とかわけのわからないこと言ってるんで他人のこと言えないわけですけど。そんでまあ手当たり次第にですね「僕もイチャイチャしたい!」とか「一緒に酩酊してゲロ吐いてそのゲロの上を滑りたい!」「おおんっ! 脳イキいぃっ!」とかブリブリ送ってみたんですけどまあシカトですわ。なんだ、自分は狂ってても狂人の相手はしたくねえってか。  そんな中で「女装趣味です。チャットで相談に乗ってください」みたいな比較的ノーマルな投稿があってですね、そこ女装趣味ってカミングアウト必要なのかなとは思うんですけど、まあサバンナでヒョウとかチーターとかが闊歩してるなかでシマウマ程度の危険度が少なそうな人がいたんで「酩酊してますけど相談乗ります!」とか僕も割かしあたりさわりなくメッセージを送ってみたんです。そしたら「よろしくお願いします」みたいな厳かな返信がきましてちょっとキョドッたんですけど、まあ身近な人には言えない相談なんだろうなと思ってちょっと真面目に返信しようかなと座りなおしたりしてたんです。赤霧は飲んでますけど。したらなんか「スカイプに霊視できるって人がいてみてもらったんです」とかいう予想だにしない展開なんですよ。はあ、霊視ですか。 「そしたら何か憑いてるって言われました」 「おー、なんすか、悪霊的なやつですか」 「みたいです」  もうね、言っちゃ悪いですけど、こちとら霊感とか全くないわけですよ。高校生の頃実家が友達の溜り場になってて、そこでパリピ的にウェイウェイ騒いで写真バシバシとってたら押入れの襖に普通に人面が映りこんでたけど何も感じないレベルで霊感がないんですよ。そんな僕に何を相談してくれてるんだと。ていうか募集の時点でそういう人を募集しろと。人類がみんな霊視できる前提になるなと。 「写真を送ったら股の間にいるって言われました」  なんだそれ。すげーシュールじゃねーか。 「その写真見せてもらっても良いですか? 霊とか全然僕見えないですけど」 「お願いします」  で写真が送られてきたんですけど、なんだろう、普通にね、股。人間の股。 「霊いますか?」 ってだから霊見えないって言ってんだろ。もうね、このことで相談してくるってことはこの人は霊がいるかどうかで不安を感じているわけであって、もう完全にわけわかんないですけど安心させてあげればいいのかなってことで 「あえて言いますけど、いないっすね」 ってズバっと言い放ったんです。「地獄へ落ちるわよ!」張りに言い放ったんです。そしたら 「ありがとうございました」 いや、いいんですけど、何の解決にもなってない。こっちとしてもさして酒も進まなかったわ。  そんな感じで会話が終わりまして、ううん、消化不良感あるわあと思ってYouTubeとか見ながら酒飲んでもっかいその掲示板見たら、その人完全に同じ文面で相談に乗ってくれる人募集してたからね。僕完全に役立たずだったからね。  結局友達もできず、胸の重さも何も解決されずですわ。もう寝るしかない。酩酊して寝るしかない。いいんだ。明日は玄関の掃き掃除で無心になるんだ。
2019年3月18日
 基本的になんですけど、僕人と関わるのが苦手なんですよ。人見知りなのかなとは思うんですけど、ウィキペディアによると大人でいう人見知りってのは「恥ずかしがりや」「内気」「はにかみや」であり、社会心理学的にはシャイネスというものに分類されるそうです。ある心理学者によるとそれは「他者が存在することによって生じる不快感と抑制」というものなんだとか。  そうなのかなと自分を振り返ってみると、僕は恥ずかしがりやってこともないですし、内気かというとまあイケメンとかを目の前にするとやだ……カッコイイん……となって目を合わせられないとかはありますけどそれほどでもない。はにかみやに至ってはもうよくわからない。なんだはにかみやって。笑うとえくぼができる人のことか? 全然わかんねえ。  てことから考えると、僕は人見知りというかですね、老人が嫌いなんでしょうね。老人が存在することによって生じる不快感と抑制なんでしょうね。なんでかっていうともう簡単で、職場に行くともうテンションがダダ下がるんですよね。仕事が完全に老人と関わることしかないんですけど、もう駄目。出勤すると胸と腹が重たくなって、イライラして情緒不安定になる。首とか肘の内側の関節がかゆくなって眼鏡になんかよくわからない細かいゴミがついてハゲて足が短くなる。もう最悪。ほんと60歳以上の人間と関わりたくない。  この間なんてもうほんとめっちゃ体調悪くてですね、胃がキリキリキリキリキリキリキリキリして肺が鉛に変わってんじゃねえかってくらい胸が重くて、気持ち悪くて吐き気がする。ああもう本当嫌だなーと思いながら働いてたんですよ。休憩時間になってもメシを食べる気にもならず、ていうかそもそも休憩時間も確保できないもんですからタバコだけ吸ってメシは同僚にあげたりしてはやくこの職場から逃げたいとだけ考えて仕事をしていたんですけど、そんな様子を見たゴーレムによく似た、動く石像みたいな顔をした上司がですね「帰っていいぞ」と。おやこれはどういう風の吹き回しだろうと思ったんですよ。うちの職場はもうドラクエ5の主人公が謎の教団で体験したかこくなどれいのひび並みの待遇でして、どんなに体調が悪くても熱が37.5℃以上に達しない限りは休みを許可されないことで有名なんですよ。頭痛がする、だるくて動けない、でも熱は36.5℃だよね! いけるいける! 大丈夫! とか瞳孔が開いた目で言われることで有名なんですよ。そんな奴隷を統括する首長みたいなゴーレムが、たかが胃が痛くて吐き気がするくらいで「帰っていい」なんてどういうことだと。ついに脳みそまで岩石になったのかと。そのうち動かない石像になるのかなと。そうしたら大きな古時計の一節を変えて今はもう動かない大きな石像って歌にしてやるぞと。そう思ってキョドっていたらですね「ノロウイルスの検査をしてから帰れよ」と。  ああなるほど、お前は病原菌を撒き散らす汚物の可能性があるぞと。お前がいると老人にウイルスが移るかもしれないだろとりあえず検査して目障りだから今日のところは帰れってことですね。確かに老人ってやつはやれ室温を何度に保てだの湿度を何%にしろだの1日何カロリーを取れだの熱帯魚みたいな生活を提供してやらないといけない生き物なので、そんな脆弱な生物に対して僕のようなバイオハザードがいたら一気に死滅しちゃうだろってことですね。小学校のときに夏祭りでとってきた金魚を学校の水槽に入れたら全滅させちゃったN君を思い出したわ。  ああはいはいわかりましたわ。もう帰れるならなんでもいいですわとばかりにウンコを採取して検査機関に送付してさーもう帰ろうとしたら職場の看護師に呼び止められて「ウンコだと検査結果夜になるからとりあえずこの簡易検査キットでもう一回調べてみて」って言われたんです。別に夜になってもいいじゃねえかと思ったんですけど、ああもういいっすよ何でもやりますよって話聞いてたんですけどね、なにやら棒状のものをアナルに突き刺して直腸内に菌がいるかどうかを判別するらしいんですよ。なんかあれですよね。医療に従事する人ってのはなんかこう、普通に生活してたら「エッ」てなることをサラッと要求してきますよね。正直インフルエンザ検査で鼻の穴に棒突っ込むのもどうかと思いますし、昔ソケイ付近にできたアテロームの治療のときも「うーん、切っちゃおうか!」とかほんと「今日は外食しちゃお!」みたいなノリで言われましたし。でももうしょうがないんでわかりましたってその棒をもらったんですけどね、なんていうかね、あれですよ。細いコップとか長めの水筒とかを洗う用の棒の先にタワシみたいのがついたアイテムあるじゃないですか。あれみたいなやつを渡してきたんですよ。先っちょがめっちゃタワシなんですよ。思わず「えっ、これケツに入るんすか?」って聞いちゃったんですけど、看護師のほうが「えっ、何言っちゃってんの?」みたいな顔してきたからね。「えっ、アナル拡張済みじゃないの?」みたいな顔してきたからね。「紫色の50cmくらいのこけしみたいなの持ってるよね」みたいな。どういうことやねん。  もうしょうがないんでトイレに入って、一応確認のためにそのタワシの先端を触ってみたんですよ。いやタワシみたいに見えて実はすげー柔らかかったりしないのかなって。猫の毛みたいに、硬いどころかむしろ柔らかすぎて気持ちいい! みたいなことないかなって。うん、完全にタワシ。いやーありえないわーこんなもんケツに入らないわーあの看護師ヤマジュン作品見すぎだわー男のケツなんてなんでもズニュル! って入ってうああおおおっ!ってなるんでしょーとか思ってるわ絶対ー。そんでやっぱアナルにあてがっただけでチクチク感満載でイッタイイッタイだわー。  まあでも入れました。入れましたよ。入れる瞬間「うううおおあああっ!」って嘶きながら入れましたよ。そんで出すときも「おおおおんんああっ!」ってなりましたよ。しかももうどうでもいいんですけど、そのキットを使用後に入れるやつが透明っていうね。完全に僕の直腸内の色を同僚の看護師に見られるっていう羞恥プレイ付き。ほんとありえない。はにかむしかない。僕がゲンナリしてたらその看護師も「まあノロじゃないと思うし大丈夫だと思うから帰っていいよ」って言ってくれたんでもう逃げるように帰りましたわ。ていうか大丈夫だと思うならそこまでやらせるんじゃないよって話だよ。  そんで家に帰って「汚されちゃった……」って不貞寝してたらですね、ゴーレムから「陽性です」って電話が着たからね。なんやねん陽性ですってカノジョかお前はと。いやまあ確かにズルズルズルズルと下痢をしているなあとは思っていたんですけどまさか本当にノロウイルスだとは思わなかった。検便キットからの情報なんで間違いないと。5日間程休んでくれと。ウンコが固まったら連絡くれと。もうめっちゃ喜んだよね。5日も休めるの!? ずっとノロでいたい! ずっと下痢したい! と思っちゃったよね。でも看護師は多分違うっていってたけど、あのタワシキットでの結果も陽性だったのか聞いたんですよ。したらなんか「いや、あれは陰性だった。ていうかキットを間違ってたからそもそもよくわからなかった」とかほざくの。いやいやいや、キットを間違ってたじゃないんだよ。タワシだよタワシ。タワシをケツに入れたんだよこっちは。ふざけんじゃないよ。下痢もらすかと思ったわ。  やっぱ人見知りだわ。他者が存在すると不快感しかないわ。